前回、自分の中での「仕事って何だろう?会社って何だろう?雇用形態って何だろう?」の疑問に対してある決断をしました、って書いたことが、非常に思わせぶりな言い回しだったようで、読んでくれた方々にいろいろ興味を持たせてしまったみたいです。すみません。そんな大したことでもなく、あぁやっぱり、なんて思う方も大勢いらっしゃるかと思いますが...... 

わたくし、今の職場に契約社員として努めておりましたが、この度、正社員に......じゃなく、契約を更新しないことに致しました。8月末まで今努める会社での仕事は終了です。
まぁ理由としましては、やっぱり、仕事と待遇、どちらにおいてもわたくしの中で、とても妥協できるレベルに達していなかったということでしょうか。何を、おまえレベルのクリエイティビティで文句言ってんじゃい!!とお思いの方も大勢いらっしゃるかと思いますが、僕は、自分の力を大きくも小さくも評価しているつもりはございません。素直に自分の『仕事とは......』『会社とは......』『上司とは......』そして、『デザインとは......』を信じたとき、「ここは僕の居る場所ではない」と感じただけです。ただ、それらの概念、定義がどうやっても会社のそれとは平行線を辿るのみだと悟ったからです。だから、彼等には彼等のやり方で続けてもらえばいいですし、また、その場所で続けていく現在の仲間たちには、是非とも、それぞれが思う"成功"を手にしてほしいものです。

いきなり話は逸れますが、絶対にここに書き残しておきたかった僕の中の大きな事件として"ヒデの現役引退"がありました。本当に衝撃的だった、このニュースは。まだまだずっと前を走っていて欲しかった人が急にいなくなった。本当に、自分の身近にいる尊敬する人が急にいなくなった感覚でしたね。
Jリーグでデビューしたときには既に彼のことは知っていたし(そのときはここまでの存在になるとは思わなかったけど)、今まで彼の選手として、人間としての変貌・成長をずっと見てきたつもり。もちろんメディアを通してではあるけれど。
彼の存在がサッカー界や各メディアで大きくなっていくにつれ、一目に無機質だと感じられるような態度を彼はとるようになっていったけど、僕は彼のプレーを見ていて、彼は絶対にそんな人じゃない、人一倍、サッカーやファン、人に対してLOVEのある人だと思っていた。自分に厳しく、自分の愛するものに対して純粋な人なんだと思っていた。だから、そうできない人たちへの接し方もわからなかったし、愛するものへの気持ちを隠さざる得なくなるマスコミの性質を嫌悪していたんだと思います。
そんな風に思っていたから、彼のサッカーやファンに対する大きな愛情を綴ったあのメールを読んだとき、マジで泣きしましたよ。やっぱりそうだったんだ、って。会社で読まなくて本当よかったですよ(アクセスが集中して読めなかったんだけど)。

でさ、あのメールを読んだ人はわかると思うんですけど、『みんなからのmailをすべて読んで、俺が伝えたかった何か、日本代表に必要だと思った何か、それをたくさんの人が理解してくれたんだと知った。』って書いてましたよね。これってちょっと凄いと思う。そりゃあ、インタビューやあの引退表明を書き記した『nakata.net』なんかで、言葉や文字として彼のメッセージを受け取ることはできただろうけど、恐らく、彼のプロサッカー選手になってからの一貫した姿勢、そしてそれを体現してみせたワールドカップ3試合での孤軍奮闘のプレーを見て、多くの人が何かある程度共通するメッセージを受け取ったんだと思うんですよ。くっさい言い方をすると、プレーで生き様を見せたんですよ、彼は。そうそうできるもんじゃない。
で、僕だって、恐らくみんなとそう変わらないであろうメッセージを受け取ったんです、彼のプレーする姿から。あぁやっぱりあの人が伝えたかったのはこれなのか、と再確認させられるものだったんですよ。

で、話は戻るけど、そう考えるとやっぱり僕は、今の場所にずっと居るわけにはいかないんですよ。今回のヒデの件と、僕が今の場所を離れることを決めたことはほぼ無関係ですけど、いろんな大切なことを思い出せてもらったというか、再確認させてもらったんですよね。

僕はね、人とぶつかるのが大嫌いなんですよ。先述した通り、几帳面な性格だからだと思うんですけど、クラスや職場でも小さいながらもリーダー的な役割を任せられることがあるんですよ、こんな僕でもね。でもね、ぶつかるのが嫌いだから、怒れないんですよね。だから、ただの優しいリーダーや先輩にはなれるかも知れないけど、良いリーダーや上司にはなれない。それは、ずっと以前から思ってたこと。
やっぱり、年齢や経験、実力なんかに合わせた、『ポスト』というと嫌な言い方かも知れないけれど、役割ってものがあると思うんです。で、それはやはり自分の気持ちに少し反してでも担わないといけないものだと思うんですよ、ある程度の規模のチームに属していくなら、なおのこと。自分の経験や知識を若い子たちに伝えていかないと、チームとして成長しないと思うんですよ。例え、自分がいずれその場所から旅立つことがわかっている場合でも、その場所はずっとそこにあり、そこで生きていく人たちがいるんです。いなくなった時点で自分とは無関係だと感じれてしまうような人との関わり方をしてきたとするなら、それは非常に寂しいことだと思います。
自分は作業だけをするのが好きだからだとか、部下を怒ったりするのは苦手だからだとか、仕事はお金を稼ぐ手段なだけだからなるべくストレスを背負いたくないだとか、そんな理由でポストを担わない人もたくさんいて、その気持ちもすごくよくわかるんですよね。僕なんて、今のところ断然そっち派ですもん。
だけど、エゴかも知れないけど、自分よりまだ経験の浅い子に、教えてあげたいこともたくさんあるんですよ。そんなとき、自分がその教えたい、伝えたいことを体現できていなかったら、もしくは体現しようと努力していなかったら、全然説得力がないじゃないですか。それは、後輩だけじゃなくて、同僚だって、先輩だって、上司にだって同じことだと思うんですよ。自分の伝えたいことが間違っているかも知れないけれど、筋の通らないことはしたくない、言いたくない。馴れ合いの中では、良い関係も、良いものも生まれるとは思えない。そういったことも、ヒデからのメッセージによって再確認できたことだと思います。
こんな青臭いことばっか言ってるけど、もちろん全然実行はできていませんよ。今回、契約を更新しないのだって、不満な点があるなら自分が率先して、意見し、行動し、"チーム"を改善していけばいいし、どこにだってそんな状況はあるんですよね。それはわかっているんです。だけど、やっぱり今のチームの状況を改善することに労力を費やすのは、今僕の欲しい力を手に入れるのに良い練習だとはとても思えないし、改善できるという希望も見出せないんです、あのチーム=会社には。というか、僕の力には。たぶん"成功"の意味も違いすぎるしね。

今の会社での収穫

デザインにおいて、DTPの経験は本当に大きいということに気づけたこと。印刷会社でのDTPオペレーターの仕事では、デザイナーからの指示に基づきレイアウトの作業を重ねていくことで、整列、反復、近接、コントラスト、色、文字組みなど、Webでは軽んじられることの多い要素を徹底して学ぶことができ、今の会社でWebデザインしかしたことのない人の創作物を見て、それらのデザインにおいての重要性、そして自分にはそれが知らぬ間に染み付いていることに初めて気がつきました。それは以前の会社での、上司、先輩からの厳しい指導があったからだと思います。そして、それが会社の姿勢でもありました。ストレスフルな環境ながらも良いチームにいたんだ、と実感しました。
これを読んでくれた元チームメイトの方々で、まだそこに在籍してらっしゃる方々、是非僕がこんなことを言っていましたと朝礼のネタにでも使ってくださいよ。以前この会社にいたKOZZYは、「ここで学んだ伝統的な組版や規律ってのは、一見地味で保守的なものかも知れないけど、今後、クリエイティブな業界で生きていく上で大きな力になる」と言ってましたよ、と。幹部を図に乗らす可能性もありますが。
そんな以前の会社での経験もあっただけに、今の会社に来て、こんな製作会社が存在するということ、また、それでもある程度の利益をあげているということを知ったことも、逆に勉強になりましたね。
クリエイションにおいては共有できる意識を持った人にはあまり出会えなかったけど、いい人にはたくさん出会えたこと。チームの先輩には、会社の姿勢に馴染めない僕の気持ちを察してもらい、いろいろと気を遣って頂きました。申し訳ないっす。
そして、自分の仕事に対する考え方を再認識できたこと。過去のブログを読み返すと、少し、疲弊していた仕事観が読み取れます。頑張り過ぎず、ゆる~く仕事をする。今でも間違った生き方だとは思いません。仕事だけが人生じゃないし、家族を持つだけが人生だとも思わない。何回も書いているかも知れないけど、肩の力を抜くことと、手を抜くことは違うと思っています。ハードに仕事しようが、ソフトに仕事しようが、不誠実なことだけはしたくないです。上司、先輩、同僚、後輩、取引先、ライバル会社、お客さま、どれをとっても人と人との繋がりの中で生きているんですから。
そんなことを再認識できたのは、大きな収穫ですね。

僕も、大きさは違えど、ヒデのように今まで大事なことはほとんど自分で決めてきました。だから後悔していることは全くないです。これからもなんとかなるでしょ。なんくるないさ~。
え、結婚? 何それ? 僕知らな~い!

コメント

u_ziq says

お疲れ様っす。中田の引退は"彼の今後行動"がどうなるのかって所が気になりますね。
今日、東京までWEBのデベロッパー向けのセミナーに行ってきました。
組織、個人に限らず、WEBの標準的レベルを上げるという意思の下に集まる人たちのイベントっすわ。
何がうらやましいって、人とのつながりの力を最大限に発揮できる場ってのは、WEB業界だけに限ると、やっぱ東京しかないんかなって思ったんすわ。
そういう環境に身をおけるのがうらやましい。
コージーさんも次の環境ではぜひそういう場を見つけてほしいと思うし、機会があればいっしょに仕事をしてみたいですわ。(※現時点で僕はまったくもって力量不足ですが、そのうちって事でw)

ブログを読んでてそう思いました。

12:13 AM - July 17, 2006 返信

G a.k.a kass says

中田英寿は、真っすぐすぎる人なんでしょうね。サッカーに限らず、想いまで伝えれるプレイができる人って数少ないっすよね。
謙遜するでしょうけど、KOZZYさんが職場を去る事も、多少なり中田とカブる部分があるんす。『これから誰の背中を追いかければいいの?』『クリエイティブな心得は誰を見て学べばいいの?』って。だから残りわずかな時間で、仕事とは直接関係ない部分でもいいからもっと色んな事教わりたい。
恐らく自分とベビースターにとってはKOZZYさんはものすごく大きい存在なんですよ。それだけでもあの会社に居た意味はあった!と思って下さいw
僕がRespectするTHA BLUE HERBのリリックから・・・『いつだって雑音黙らすには一つ行動で表す!』
中田英寿もまた、それをやってくれる一人でした。

04:08 AM - July 17, 2006 返信

テイタラクモルモット says

中田の番組みました。真剣にやる気が無いならそこにいる意味がない。頑張ることが当たり前。いやー、冷や汗でます。やはり中田の意識の高さには頭がさがります。サッカー興味なくても中田への興味はズットありました。
オズボーンさんはもっと意識の高いとこへ行くのがベストだと思います。職選びは大切ですね。残り1ヶ月半くらいっすね。お世話になりま~す!!

06:00 PM - July 17, 2006 返信

KOZZY says

u_ziq
“人とのつながりの力を最大限に発揮できる場ってのは、WEB業界だけに限ると、やっぱ東京しかない”

う~ん、やっぱりそうかもな~。ホント、よく聞く、“やっぱ東京だよ”と。実際に業界で働くようになったら、なおさら。

こういうクリエイティブな仕事はさ、いろんな人(能力)を組み合わせていける楽しさってのは、確かにある。ここまで人や技術とコラボレートできる職業って他にないかも。それを、最大限に活かすのはやはり、メディアの中心地 東京ってことなのかな。

そうそう、同士たちとも仕事で絡めたら最高だと思うんだわ。俺の方が全然力不足ですけど……。

12:09 AM - July 19, 2006 返信

KOZZY says

G a.k.a kass
あーざいます!いやいや謙遜じゃないっすよ。僕は、本編でも書いた通り、自分の気に食わないシステムを改善していくことを放棄したんですから。それにね、G a.k.a kassやテイタラクモルモットに、だいぶ早い段階で今の会社の負のイメージを植え付けてしまったんで申し訳ないなぁとも。でも、友達にウソつくのも嫌だったし、ちゃんと人間関係の本質をわかっている人だったら、きっと彼等の仕事観に対して疑問を持つはずだ、って勝手に思っちゃったりもしちゃって……。僕はいなくなるけど、こういう仕事ってのは、どうとでも絡むことができるんで、逆にそれぞれが少しづつ違う道に進めば進むほど、また集まったときにおもしろいことができると思うんですよ。
会社にいる間も、その後も、わたくしがお力になれることがあればなんなりと。

12:18 AM - July 19, 2006 返信

KOZZY says

テイタラクモルモット
そうやね~、中田から発せられる言葉は、自分の姿勢を正されるようなものばかりでした。

リスペクトする中田やイチローのように大きな成功を手にすることができなくても、せめて後悔するような、プライドを持って語れないような歩み方はしたくないね。

君とG a.k.a kassは良いコンビです。俺達のようにMY ROOM IS MY WORLDになりがちな人間は、ああいう人が必要なのかも知れません。そんな人たちに出会えたことも収穫ですね。今後何か一緒に作れるといいですな。

12:29 AM - July 19, 2006 返信

テイタラクモルモット says

やっぱり目標とするところが高ければそれに似合った環境、人を求めてしまうんでしょうね。

何年後になるかわからないですが、一緒にイイ物、自分達が納得できて、かつ、認められるようなものを創れるといいですね。それまでのスキルアップと感性の鍛錬は必須ですね。僕は負けません。

02:07 PM - July 22, 2006 返信

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